カマイユ技法とは、絵画を制作するときに用いられる技法のことです。単色の濃淡を活かして陰影や明暗を表現するのが特徴で、特にイエローオーカーやバーントシェンナなどの褐色系の色が用いられます。遠目では同じ色に見えても、至近距離では色が変化しているのが分かるよう、微妙な濃淡の変化を付けているのが特徴です。
カマイユは、18世紀のヨーロッパで発展しました。本格的に色を塗ったり形を取ったりする前の、アンダーペインティング(下塗り)として取り入れられるのが一般的です。描画や着色をするときのガイドラインになるだけでなく、絵具を定着しやすくしたり、上に塗る色に深みを持たせたりと、さまざまな効果があります。
カマイユ技法は、『最後の晩餐』の作者である、レオナルド・ダ・ヴィンチも用いたとされています。カマイユ技法ではまず、土から作られた絵の具をメインに、「グレーズ」という絵の具の薄い層を塗り重ねます。グレーズが乾いたら白色等で画を描き起こすのを繰り返し、下塗りの精度を高めてから他の色の彩色に取り掛かるのが基本の流れです。
カマイユ技法では、単色画でも用いる色によって呼び方が変わるケースがあります。例えば灰色を使用した単色画なら「グリザイユ」、黄褐色を使うものは「シラージュ」、緑色を使っていると「ベルダイユ」と呼ぶ場合も見られます。カマイユ技法は、単色の濃淡を活かして明暗や陰影を表現する技術の総称とも言えるでしょう。