ケメックス

ケメックスとは、アメリカのコーヒーメーカーのブランドのことです。コーヒーメーカーにはガラスと木材を使用しており、三角フラスコと漏斗を組み合わせたようなデザインが特徴。通常は分離しているドリッパーとサーバーが一体化しているのも、ケメックスならではの特色です。

ケメックスが創業したのは、1941年です。化学者のピーター・シュラムボーム博士が「自分好みのコーヒーを飲みたい」と思い、実験室のフラスコや漏斗に改良を加えたのが生産開始のきっかけです。ガラスのフラスコと漏斗に木でできた持ち手を取りつけることで、扱いやすいコーヒーメーカーが完成しました。

組み立てから出荷まですべて博士自身や秘書が行っていましたが、第二次世界大戦の影響でガラスの供給が止まってしまいます。しかし博士が当時のアメリカ大統領に手紙を送ったところ許可が下り、生産再開を果たしました。現在は機能性だけでなくデザイン性の高さも評価されており、アメリカのニューヨーク近代美術館やフィラデルフィア美術館では、永久展示品(パーマネントコレクション)にも指定されています。

ケメックスの製品のなかでも、1941年~1980年代ごろの間で製造されたものは「オールドケメックス」と呼ばれることがあります。手作業によって作られたコーヒーメーカーが多く、一つひとつシルエットが少しずつ異なるのが特徴。経年によって木の色合いが変化したものもあり、独特の存在感を堪能することが可能です。