ダッチェス

ダッチェスとは、イギリスの陶磁器メーカーのことです。メーカー名のダッチェスは英語で「公爵夫人」という意味があり、伝統的かつ優美なデザインが特徴。金彩をさりげなくあしらい、上品な華やかさを備えています。1888年に、イングランド内のスタッフォードシャーという街で創業しました。

ダッチェスは創業当初、国内外に向けた朝食や中国茶用の食器を制作していました。1905年に磁器の生産を手掛けている「the Blyth Porcelain Company」という会社に、1934年に「A.T. Finney and Sons」に買収されながら、営業を続けていました。20世紀に入ってからはファインボーンチャイナの生産に注力し、透明感のある白色と強度の高さが特徴的な製品を作るようになります。

しかし工業化や大量生産・大量消費の時代になると安価な製品にシェアを奪われ、1989年から1999年の10年間は営業停止を余儀なくされました。1999年にGrimwades社がダッチェスの工場を買い取った後は営業を再開し、現在に至るまで創業の地でファインボーンチャイナの生産を続けています。営業を再開した後は、「Duchess china 1888」というメーカー名を使用しています。

ダッチェスのコレクションは目立ったものは確認できませんでしたが、全体的に花をモチーフにしたものが多い傾向にあります。透き通るような白地を背景に、ブルーや紫などの爽やかな色合いで彩色された花を描いたものが登場しています。ティーカップやソーサーは凹凸がほとんどないシンプルなシルエットで、大人の落ち着きを感じられるのが印象的です。