チッペンデール様式

チッペンデール様式とは、18世紀中ごろのイギリスにおける家具の様式の名称です。家具師でありデザイナーでもあったトーマス・チッペンデールが生み出したことに由来しています。チッペンデールの家具のデザインはイギリスをはじめアメリカや植民地の家具職人にも影響を与えました。ロココ様式やネオクラシック様式、シノワズリなど様々な様式の影響を受けているのが特徴です。

1754年に刊行された『The Gentlemen and Cabinet-maker’s Director』に掲載されたこともあり、チッペンデール様式のデザインが当時としては長く存続し、他国製のものでもイングランドのオリジナル品と近い作風に統一されています。チッペンデール様式を取り入れた家具の種類は、箪笥や机など多岐に渡りました。そのなかでも特に特徴が顕著な家具として、椅子が挙げられます。

チッペンデール様式の発祥の地であるイングランドの椅子は、背が低くて横幅が広いのが特長。背もたれや脚に彫刻を施しており、背もたれに渦模様を組み合わせたものが多い傾向にあります。脚先は「カブリオレ・レッグ」と言って、ロココ様式の切れ込みや彫りを施したボール型のものを使用。木材はマホガニーが好まれました。

アメリカでも家具職人が移民として定住したり、『The Gentlemen and Cabinet-maker’s Director』が流通したりしたこともあり、チッペンデール様式の椅子は人気を博しました。基本はイングランドのオリジナルとほぼ同じ。アメリカならではの特徴としては、縦に長く脚が細い点や、装飾が控えめなところが挙げられます。木材はマホガニー、ウォールナット、カエデをよく用いました。