テラコッタ

テラコッタとは、素焼きの焼き物のことです。イタリア語で「土」を意味する「terra」と、「焼いた」という意味の「cotta」が組み合わされた言葉です。作り方は粘り気のある土を成形し、焼き上げるだけととてもシンプルで、粘土に近い色で焼き上がります。近年は釉薬をかけたうえで焼成するものも登場しています。

テラコッタは紀元前の時代から作られており、皿や壺のほか、日本の埴輪もテラコッタに分類できます。海外では古代ギリシアのタナグラ人形や、イタリアの胸像などが知られています。メソポタミアやエルトリアなどでも見られましたが一時衰退し、ルネサンス期にイタリアやドイツを中心に復活。現在は世界各地でテラコッタの彫刻作品が作られています。

テラコッタで彫刻作品を制作する際は、焼成する前に形を整えておくのが一般的です。焼成を終えたテラコッタは非常に硬く、彫刻を施すのには不向きのため、焼成前に細部まで仕上げます。釉薬を塗る場合は、彫刻を施した粘土を十分に乾燥させてから焼成し、素焼きのテラコッタができあがってから釉薬で彩色を施すのが一般的です。

テラコッタの色といえば埴輪のような赤褐色を想像されがちですが、実際は粘土に含まれている成分よって異なります。例えば粘土に酸化鉄が豊富に含まれている場合は、焼き上げると黒い色合いに変色します。硬度は焼成温度や作品のサイズによって異なり、温度が高く、作品のサイズが小さいほど硬くなります。テラコッタは作り方がシンプルですが、素材や温度によって仕上がりが異なる、奥深い焼き物です。