ハーフドールとは、陶磁器でできた上半身のみの人形のことです。ドレスや羽根つき帽子を身につけた、貴婦人をモチーフにしたものが多い傾向にあります。針を立てる裁縫道具「ピンクッション」としてよく使われていたため、「ピンクッションドール」と呼ぶ場合もあります。
ハーフドールの大きさは、およそ5~15cm程度です。腰あたりに穴が開いているため、そこに糸やリボンを通し、ドレスに見立てて自分だけのオリジナルアイテムを作れるのが特徴。当時の裁縫好きの女性は、自分好みの材料を使用してドレスや小物を作って楽しんでいたと言います。なかには髪の毛が付いていないハーフドールもあり、髪型も自作できるようになっていました。
ハーフドールは、主に20世紀前半のイギリスで流行しました。1920年代にドイツの陶磁器メーカーが作ったハーフドールがイギリスに輸入され、瞬く間にイギリス国内で注目されるようになりました。見た目のかわいらしさだけでなく実用性も重視されており、ブラシやピンクッションといった裁縫道具、ティーコジー、ランプシェードなどとして使われていました。
陶磁器メーカーは世界中にありますが、ハーフドールを生産していたのはほとんどがドイツです。多くのドイツ製のハーフドールには、4~5桁の製造番号が記されています。有名ブランドのものは、バックマークが刻印されていることも。ハーフドールの代表的なメーカーとしては、Dressel & Kisterや、F.W.Gebelなどが挙げられます。