バラリン工房

バラリン工房とは、イタリアにあるガラス工房のことです。ヴェネツィアから見て北東にある、ムラーノ島に拠点を置いています。バラリン工房がムラーノ島でガラスを作り始めたのは1400年頃で、約600年もの間バラリン家の人々が生産・経営の中心として携わっています。現在のマエストロは15代目のジュリアーノ・バラリン氏です。

バラリン工房の特徴は、「レースガラス」の技法です。ガラス製品のもとである「カンナ」というガラス棒を作る段階で規則正しいレース模様が入るよう作業しており、バラリン工房の繊細かつ可憐な製品のベースになっています。レースガラスは門外不出とされており、強い統制下のもと管理されてきたバラリン工房独特の技法と言えます。

レースガラスにはルトリー(ねじり)やザンフィリコ(リボン上)、レッティチェロ(編み目)など、さまざまな表現方法があります。多彩な表現法を用いたバラリン工房のガラス製品はとても華やかで、戸棚に置くだけでも満足してしまいそうになるくらい魅力的です。2014年には製品の美しさなどが評価され、15代目マエストロが「ヴェネツィアのグラス賞」を受賞しました。

バラリン工房が生産しているガラス製品の種類は、ガラスでできた人形「フィギュリン」、レースガラスの技法をふんだんに使用したボウル、ころりと丸いフォルムがかわいらしい香水瓶などさまざまです。バラリン工房は中世以降伝わる伝統的な技術を受け継ぎつつ、現在の価値観にも寄り添うガラス製品を生産しています。