フィレンツェ派

フィレンツェ派とは、13世紀後半~16世紀にかけて活動したルネサンス美術の流派の1つです。ルネサンス美術はフィレンツェ派の芸術家たちが主導して発展したと考えられており、当時のヨーロッパ各地に大きな影響を与えました。主な活動場所は、イタリア中部にあるフィレンツェという都市です。フィレンツェ派の芸術家たちは都市政府やギルド、上層国民などのパトロンからの支援を受け、さまざまな名作を残しました。フィレンツェ派より少しあとに登場した、ヴェネツィア派と対比しながら語られることもあります。

フィレンツェ派の絵画の特徴は、線による描写を重んじているところ。緻密なデッサンによって、自身が理想とする美しさを表現していました。ヴェネツィア派の作品と比べると輪郭線がはっきりとしており、人物や背景などの境目が分かりやすい傾向にあります。生乾きの漆喰の上に絵を描く、フレスコ画が多いのもフィレンツェ派の特色。教会や礼拝堂のような建物内にも、フィレンツェ派の芸術家が描いた壁画が残っています。

フィレンツェ派の代表的な芸術家は、ミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチなどが挙げられます。ミケランジェロはフィレンツェ共和国出身の芸術家で、システィーナ礼拝堂の天井画や『最後の審判』などを描きました。レオナルド・ダ・ヴィンチも同じくフィレンツェ共和国出身で、芸術家以外に学者としても活動。絵画作品だと、ルーヴル美術館が所蔵している『モナ・リザ』や、ウフィツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)の『受胎告知』などを制作しています。