フンメルとは、マリア・イノツェンツィア・フンメルがデザインした陶磁器人形のことです。マリア・イノツェンツィア・フンメルは1909年にドイツのバイエルン州で生まれ、1927年に応用芸術アカデミーに入学しました。1931年4月に修道院に入ってからは、活動の一環として学校で絵を教えることもありました。
展覧会を開催すると世間で大きな話題となり、フランツ・ゲーベルは彼女の絵を人形にしようと考えます。人形は愛らしい表情や今にも動き出しそうな仕草、丁寧で落ち着いた彩色などで人々を魅了し、マリア・イノツェンツィア・フンメルが1946年に亡くなった後も世界中で愛好家クラブが設立されるほど根強い人気があるシリーズになりました。
技術の進歩に合わせて生産法も切り替えており、素地はもともとヨーロッパ産のソフトペーストを使用していましたが、近年はアジア産のハードペーストが主流になっています。素地は1,150℃で焼いた後、透明の釉薬にしっかり漬け、高温でもう一度焼き上げます。最後に表面へ絵付けを施し、760℃で焼いて絵具を定着させたら完成です。
1つ1つ職人による手作業で生産されるため、色合いや表情に少しずつ違いがあるのが特徴。ドイツの陶磁器人形メーカーのゲーベルに合併されましたが、販売数の減少のため2008年に生産を中止されました。現在はHummel&Manufaktur GmbHに製造権が引き継がれ、生産も再開しています。日本では株式会社アヅマが代理店として販売を手掛けており、全国の百貨店等で購入することが可能です。