マッキアイオーリ

マッキアイオーリとは、1850年代にイタリアのトスカーナ地方で生まれた絵画の流派のことです。アトリエで入念な仕上げを行うことを推奨するアカデミズムを放棄し、自然の光をそのまま画面に写し取るために色斑で絵を描きました。小さな斑点で色の濃淡を繊細に調整し、作品全体で見ると風景の一部をそのまま切り抜いたようなリアルさがあるのが特徴です。

マッキアイオーリが生まれた背景には、イタリアの国家統一運動があります。当時のイタリアは小国が乱立しており、それぞれの国がヨーロッパの強国の後ろ盾を得ながら権力争いをしている状態でした。この状況に一石を投じ、イタリアを一つの国として統一しようとした動きが国家統一運動です。フィレンツェのカフェ・ミケランジェロに集った画家たちは、愛国主義をもとに新しいリアリズムを示すため、色斑を用いた作品を多数制作しました。

当初は政治色が強かったマッキアイオーリですが、独立戦争に参加したメンバーの早世や1870年のローマ開放と国家統一を経て、個々の関心があるテーマでの作品づくりが主流になっていきます。

マッキアイオーリの代表的な画家の1人であるジョヴァンニ・ファットーリは、当初は歴史や軍隊をテーマに作品を作っていましたが、のちに風景・田園・軍隊生活など比較的穏やかな事柄を題材にするようになりました。代表作は、『クルックストンの野営地におけるメアリー・スチュアート』や『家畜を追い込むマレンマの牛飼いたち』です。