「リトグラフ」

2022.5.6

リトグラフとは、石灰岩でできた石板石を用いて版画を制作する技法のことです。水と油が反発する原理を利用しており、筆やクレヨンでキャンバスに絵を描いたような、柔らかい表現ができるのが特徴。現在はアルミ板やジンク版などの金属板で制作することもあり、板に描いた絵をほぼ正確に、紙へ転写することが可能です。化学処理を施した木版を使う木版リトグラフや、水を使わないウォーターレスリトグラフなど、様々な方法の開発が進んでいます。

リトグラフは、現在のドイツのミュンヘンに住んでおり、役者であり劇作家でもあったアロイス・ゼネフェルダーが1798年に完成させました。彼は紙の代わりに石板へ油性の筆記具でメモをして、酸性の溶液で洗い流そうとしたところ、インクの跡が残っていたことをヒントに、水分は油分をはじくことに気づきます。この出来事をヒントに、彫刻刀で版面を掘って凹凸を付けた版板ではなく、化学変化を利用した印刷の技術を発明したのです。19世紀初頭には、リトグラフの技術はヨーロッパ中に広がりました。

作品の制作の過程は、描画・製板・刷りの3段階に分けられます。まずはリトクレヨンや解墨など、油脂分の多い画材で板の上に絵を描きます。次に板を水で濡らして、ローラーで油性インクを塗布。そうすると、油脂分との親和性が高い描画した部分にのみインクが乗ります。最後に板の上に紙を乗せ、プレス機などで圧力をかけて転写させると完成です。本来、版板はドイツで採掘される石灰岩を使用するのですが、日本では物理的な理由や版画の大型化などの影響で、金属板を使うケースが多く見られます。