ロンシャン窯とは、フランスにある陶磁器の産地のことです。パリの南東約350kmのところにある、ロンシャンという場所で開窯しました。創業年は1867年、創業者はロベール・シャルボニエです。当初は「ポトリー・ド・ブルゴーニュ窯」という名称を使用していましたが、のちに「ロンシャン窯」と名前を変更しました。
1878年にはパリ万国博覧会でメダルを獲得し、フランスの陶磁器の産地として一定の地位を確立するまでに成長。娘婿のゲータン・モワザンが経営を引き継ぎ、息子のエドワードもロンシャン窯の活動に加わり、東フランスにあるサラン窯と産地を買収し、さらに事業を拡大しました。2009年に惜しまれつつ260年を超える歴史に幕を下ろし、工場跡地は陶芸家のための研究開発拠点として活用されています。
時代によって刻印が変化しており、創業者のロベール・シャルボニエの刻印「RC」は開窯初期のとても希少なものです。1912年~1945年の間に生産された陶磁器のなかには、ロベール・シャルボニエから経営を引き継いだ娘婿ゲータン・モワザンの刻印を施したものもあります。
ロンシャン窯では王道を行くスタンダードな製品を多数生産しており、主な製品としてはプレートやティーカップ、ラヴィエなどが挙げられます。ひとつひとつ手作りで生産していたため、サイズ・色・柄・形などがそれぞれ異なるのも特徴。陶磁器の地肌を活かしたシンプルな絵付けが特色で、現代のティータイムや食卓でも違和感なく使えそうな製品もたくさんあります。