三川内焼

三川内焼(みかわちやき)とは、長崎県佐世保市の三川内という地域で生産されている陶磁器のことです。「平戸焼」とも呼ばれています。16世紀末の朝鮮出兵の際、平戸藩(現在の長崎県平戸市・佐世保市)の領主が、朝鮮半島から100人ほどの陶工を連れ帰ったことをきっかけに生産が始まったと考えられています。

また、同時期に佐賀県北部で発展していた唐津焼の影響も受けたようです。1637年には平戸藩の御用達窯が開窯し、1640年頃から磁器の生産を開始します。1660年代になると生産体制が整い、磁器に透かし彫りや置き上げといった細工を施すようになりました。透かし彫りとは、器の生地をくり抜いて籠の網目のような文様を表す技法です。置き上げは筆で少しずつ土を重ねることで、器に立体的な絵柄や文様を生み出す技術です。

1831年になると三川内焼の輸出が始まり、コーヒーカップやワインカップを作るようになります。明治以降はアメリカ、パリ、日本などで開催される万国博覧会に何度も出品し、世界的な評価を受けるようになりました。1978年に、経済産業大臣指定の伝統的工芸品に指定されました。

三川内焼の特徴は、唐の子どもが遊ぶ様子などをモチーフにした「唐子絵」を描いた作品がよく見られることや、透かし彫りや置き上げといった装飾的な技術を積極的に取り入れているところです。現在は茶道具・皿・鉢・茶碗といった伝統的な食器だけでなく、ピアスやペンダントなどのアクセサリーも作られています。