新印象主義

新印象主義とは、フランスの画家であるジョルジュ・スーラが創始し、同じくフランスの批評家のフェリックス・フェネオンが名付けた絵画様式のことです。別名、「新印象派」とも言います。直感的に描いていた印象派の色彩表現を、色彩科学をもとに理論化し、点描法を用いた絵画作品を制作したのが特色です。

新印象主義が生まれた背景には、印象派画家たちの分裂があります。印象派の画家たちはグループの活動より自己の芸術性の追求に重きを置くようになったり、「印象派会員はサロンに出展しない」との決まりがあったにもかかわらず、サロンに作品を出展する者が現れたりしたためです。1886年に開かれた第8回印象派展では、印象派に批判的な芸術家の作品も出品されました。

印象派の描法は、素早いタッチで描いていくのが特徴。描くスピードが速いぶん、輪郭がぼやけやすいため、人物画の制作が難しくなるという欠点がありました。そこで、印象派の画家たちがそれぞれの方法で欠点を補おうとしたのも、印象派分裂の理由の1つです。新印象主義の画家は色彩科学を理論化し、点描法で作品を制作することで、明るく鮮やかな色彩表現と、輪郭の明確化に成功したと言えます。

31歳の若さでジョルジュ・スーラが亡くなった後は、シャニックやピサロが新印象主義の作風を受け継ぎます。特にシャニックは点描法を好み、新印象主義の理論を可視化したような作品を生み出しました。『七色に彩られた尺度と角度、色調と色相のリズミカルな背景のフェリックス・フェネオンの肖像』は、その代表例です。