深川製磁とは、佐賀県有田町に本社を置く陶磁器メーカーのことです。主に有田焼の製品を製造・販売しており、茶碗や盛皿など普段使いしやすい食器類のほか、花瓶・置物・陶額といった芸術作品のようなものまで幅広く取り扱っています。有田焼らしい色とりどりの絵付けや、薄くて耐久性のある磁器などが魅力です。
深川製磁が創業したのは、1894年です。1900年にはパリ万国博覧会に佐賀県の総代として参加し、金メダルを受賞しました。1904年には、アメリカのセントルイス万国博覧会でも金メダルを受賞。1910年に宮内庁御用達となり食用食器を上納するなど、数々の功績を挙げました。近年は病院や介護施設に向けた抗菌食器の開発も手掛けており、現在も成長を続けています。
現在の深川製磁で使用している工房は、明治時代に建てられたものです。初代の深川忠次が、イギリスの陶磁器の一大産地であるウェッジウッドをもとに建設しました。熊本県の天草地方で採れる上質な陶石を用いた生地づくり、自社で独自に調合した絵の具を使用した絵付け、通常より高い焼成温度の3点にこだわっているのが特徴です。
深川製磁の製品の魅力は、「フカガワブルー」と呼ばれる鮮やかな青。透けるような白さを持つ白磁と相まって、上品な美しさを感じられます。深川製磁の絵付けで使用する絵の具は約600種類あり、繊細な濃淡や陰影が付けられるのも見どころです。2024年には深川製磁が制作した大花瓶が、佐賀県の重要文化財に指定されました。