アルフォンス・ミュシャとは、チェコ出身のデザイナー兼画家です。1860年に誕生し、1939年に亡くなりました。幼少期は聖歌隊の一員として活動し、19歳でウィーンへ行って舞台装置工房で働きつつ、夜はデッサンの学校に通っていました。25歳のときにミュンヘン美術院に入学し、卒業した後はパリの美術学校にも通いました。
美術学校を卒業した後は、舞台作品・煙草用巻紙・シャンパン・自転車などのポスターの制作を手がけました。ほかにも、雑誌の挿絵や壁に飾る装飾パネルなども制作しています。1910年にチェコに帰国した後は故郷の文化をモチーフにした作品を作り、プラハ市庁舎のホールの装飾や、チェコスロバキアが成立した後の切手・紙幣・国旗のデザインも手掛けました。
1939年、ナチス・ドイツによってチェコスロバキアが解体されると、ミュシャは「チェコの人々の愛国心を刺激する作品を制作している」という理由で逮捕されました。当時70代後半になっていたミュシャにとってナチス・ドイツの尋問は厳しく、釈放から4ヶ月後に亡くなります。
ミュシャの作品の特徴は、草花をモチーフにした装飾的な描写です。当時はアール・ヌーヴォーが流行しており、自然をテーマにした作品や、ゆるやかな曲線を用いた作品をたくさん制作しました。
ミュシャの代表的な作品としては、チェコやスラヴ民族の伝承・神話を描いた大作『スラヴ叙事詩』、児童文学『白い象の伝説』の挿絵、春夏秋冬を4つのパネルに描いた『四季』などが挙げられます。