アンリ・ルソー

アンリ・ルソーは、フランスの芸術家のことです。1844年にマイエンヌ県のラヴァルに生まれ、高校を中退した後は法律事務所で働きました。1863年からの5年間は軍役に就いて、1871年からはパリの入市税関の職員になりました。入市関税で22年間働いた後、絵に専念するために退職して年金生活を送るようになります。

独学で画を描いており、最初期の作品はルソーが35歳(1879年)の頃のものです。審査が必要なサロンには落選しましたが、1886年から審査なしで出品できる美術展に参加するようになりました。真相は不明ですが、1909年には手形詐欺事件の関係者として拘留されます。1910年に、66歳で肺炎のため亡くなりました。

アンリ・ルソーの画風の特徴は、独学で培われたからこそ表現できる独特の遠近感や色彩感覚です。風景の遠近感はほとんど感じられず、樹木や草花が1つ1つ丁寧に描かれています。人物を描くときは真正面か真横を向いており、顔立ちもよく似ているのが特色として挙げられます。「稚拙」と批評されることもありましたが、生前はゴーギャンやピカソに評価され、現在は素朴派(ナイーブ・アート)の代表的な存在として知られています。

アンリ・ルソーの代表的な作品は、1890年に制作された『私自身:肖像=風景』、フランスのオルセー美術館が所蔵している『戦争』、砂漠に横たわる女性と女性に近づくライオンを描いた『眠るジプシー女』です。日本ではポーラ美術館所蔵の『エデンの園のエヴァ』や『廃墟のある風景』、山形美術館所蔵の『工場のある町』などが見られます。