インパスト

インパストとは、筆やペインティングナイフを使って絵の具を厚く塗る技法のことです。オイルをよく混ぜて硬さを調節した絵の具を、筆やペインティングナイフにたっぷり付けて描きます。絵の具による凹凸ができるため、光が当たる部分を厚塗りすることで、平面のキャンバスや画用紙に立体感を与えられるのが特徴です。

インパストは、ルネサンス期(14~16世紀)が起源とされています。昔の絵の具は流動性が高くインパストに向いていなかったのですが、16世紀初頭頃から粘り気のある絵の具が登場し、インパストの技法が絵画制作に用いられるようになります。17世紀中頃には現在と同じような絵の具が使われるようになり、18世紀後半にはインパストにもよく用いられる固練りの油絵の具が登場しました。

絵画制作でインパストを取り入れると、凹凸による陰影を表現できます。また強調したい箇所に厚く絵の具を塗ることで、画面上のアクセントにしたり、動きを出したりすることも可能です。ただししっかり乾いてからでないと、絵の具がにじんだりヨレたりするため、インパストで描いた箇所はよく乾燥させることが重要です。

インパストを用いて絵画を制作した芸術家としては、フィンセント・ファン・ゴッホやレンブラント・ファン・レインが挙げられます。ゴッホは代表作である『ひまわり』や『星月夜』でも、インパストを取り入れました。レンブラントは、肌や布の質感を表現するときにインパストをよく用いています。