キュビスム

キュビスムとは、20世紀初頭に現れた、同時に多くの視点から対象を描く芸術運動のことです。

20世紀初め、若い画家たちはセザンヌを高く評価します。セザンヌは、画面を独自の考え方で構成していました。そんなセザンヌを高く評価していた画家の一人にパブロ・ピカソがいます。

ピカソはフォービスムの原色の絵画より、もっと重厚な表現を求めていました。そんなとき、大胆な形のアフリカや太平洋の島々の彫刻に出会うのです。ピカソの「アヴィニョンの娘たち」は、セザンヌの画面構成の考え方を発展させ、アフリカ彫刻などの誇張された形を取り入れて描かれています。この作品はマティスやドランにさえ理解されませんでしたが、ジョルジュ・ブラックは、この作品の中に時代を超えた新しさを認めたのです。

そこでピカソとブラックで、新しい画面構成の方法を研究していきます。セザンヌの「自然の中のすべての形態を円筒、球、円錐で処理する」という言葉をヒントに、彼らは明暗法や遠近法を使わない立体表現を目指すのです。そして彼らは対象を解体して、画面で再構成するというやり方を試みました。そこでキュビスムが誕生するのです。

彼らはキュビスムを通して、現実の空間をまねるのではなく、絵画の中にしか存在しない空間をつくりました。まさにキュビスムは形態と構成における革命といえるでしょう。

また、ピカソは包装紙や新聞の切れ端を使うと、筆とは違った効果を出せることに気づきます。これがコラージュを生み出していくのです。

主要人物・作家

パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、ファン・グリス、ジャック・ヴィヨン、マルセル・デュシャン、レイモン・デュシャン=ヴィヨン、フェルナン・レジェ、フランシス・ピカビア