コモードとは、フランス製もしくはフレンチスタイルの引き出し式チェストのことです。通常横幅が縦幅より長くデザインされており、引き出しが2～3段付いています。チェストに該当する家具は古代ギリシアや古代ローマの時代から製造されており、「コモード」の名称は18世紀以降使われるようになりました。ロココ様式やネオクラシック様式など、時代とともに装飾やシルエットが変化しているアンティーク家具です。

18世紀初頭のコモードはロココ様式の影響を受け、華やかな装飾を施しているのが特徴。チェスト本体の中央・四隅・脚を飾り金具で装飾するほか、「エスカッチョン」という鍵穴型の金の装飾をあしらったものもあります。時には天板に大理石を用いるケースもあり、貴族向けの豪華なコモードが生産されました。「パーケトリー」という、同一の形・大きさの化粧板を連続で並べ、幾何学文様を表す装飾を施しているのも18世紀初頭のコモードの特徴の1つです。

18世紀後半になるとネオクラシック様式が各美術分野に浸透します。装飾的なロココ様式に反発し、厳格な作風を好んだネオクラシック様式の影響はコモードにも反映されました。取手はくすんだ色味の金属を使用するほか、シルエットの曲線美も控えめになり素朴な印象を受けるコモードが見られるようになります。装飾は円形もしくは楕円形の化粧板で絵柄や文様を形作った「マーケトリー」を、甲板などに施しました。またこの頃のコモードは、引き出しの段数が4段に増加しているのも特色です。