ゴータ磁器工房とは、ドイツに存在した磁器工場のことです。1757年に公爵の侍従を勤めていたヴィルヘルム・フォン・ロートベルクが、テューリンゲン州のゴータという街で工場を設立したのが始まりです。当初の品質はあまり高くなく、素地は青みがかった灰色で、石のように硬い炻器(せっき)のようなものを生産していました。
1765年以降に改良が進み、磁器と絵付けの品質は大きく向上します。素地は黄色みがかった、柔らかい色のものが作られるようになりました。1770年頃には他の工房から熟練した職人を採用し、磁器の素地は美しい半透明の象牙色になり、施釉と絵付けの技術はマイセンの主要工房に匹敵するようになります。その後、ロートベルクは経営から退き、経営権を従業員に譲渡しました。
ゴータ磁器工房の評判はドイツ国内外に広まり、1787年には絵付師6人と陶工4人を含む、約20人の従業員が在籍していたと考えられます。創業者のロートベルクが1795年に亡くなった後も成長を続け、1800年代には裕福な中流階級を中心に取引するようになりました。19世紀初頭には、金で縁取った白磁に工房のマークをあしらったプレートや、お城を写実的に描いたマグカップなど、控えめながらも上品で美しい磁器を生産していました。
しかし大量生産をしたことで、ゴータ磁器工房の芸術性は損なわれてしまいます。1883年にはドイツの起業家であるシムソン兄弟に工場が売却され、ホテル用とキッチン用の磁器を生産するようになります。そして、1934年に事業を停止し、177年の歴史に幕を下ろしました。

