シュルレアリスム

シュルレアリスムとは、第一次世界大戦の終結~第二次世界大戦の勃発までの期間に、フランスで発生した芸術運動です。フランスの詩人であるアンドレ・ブルトンが、1924年に『シュルレアリスム宣言/溶ける魚』を発表したことで本格的な活動が開始します。シュルレアリスムの影響を受けた分野は多岐にわたり、文学・美術・映画などで様々な作品が生まれました。

シュルレアリスムの初期は夢に出てくるような不思議な作品が多かったのですが、次第に自身の無意識を表面化した作品が出現するようになります。絵画作品の有名な作家として挙げられるのは、ルネ・マグリットやサルバドール・ダリ、ジョアン・ミロなど。ルネ・マグリットはベルギー出身の画家で、空に浮かぶ岩や指が生えた靴といった、現実離れした作品を多く残しました。

サルバドール・ダリとジョアン・ミロはスペイン出身の画家です。特にダリが描いた『記憶の固執』はシュルレアリスムを象徴する作品として有名で、ドロリと溶けた時計が印象に残ります。日本でも当時フランスへ留学していた福沢一郎や、芸術評論家の瀧口修造などが紹介し、大きく流行しました。

ヨーロッパ全域や日本など、世界中で巻き起こったシュルレアリスム運動ですが、第二次世界大戦が勃発すると拠点はアメリカへと移ります。ナチス・ドイツがフランスを占領したため、多くのシュルレアリスムの芸術家がアメリカへ亡命したのです。新しい土地でも活動を続け、1940年代後半に登場する抽象表現主義にも大きな影響を与えました。