ジョージアン様式とは、18世紀初頭から19世紀初頭までの約100年間流行した、イギリスの芸術様式のことです。芸術面は外国出身の芸術家に任せきりだったイギリスで、独自の様式が生まれ始めた時期を指します。建築面ではイギリス式庭園が生まれ、家具ではトーマス・チッペンデールがデザインした製品が流行しました。
絵画でもイギリス人画家の活躍が目立つようになった時期で、肖像画家のウィリアム・ホガースはその代表的な人物です。代表作は、『カンヴァセーション・ピース』や『放蕩息子の遍歴』など。ウィリアム・ホガースは庶民階級出身だったことから、「芸術=上流階級のもの」というイメージを刷新し、大衆まで広く芸術に親しむきっかけを作りました。
ジョージアン様式は、細かく分けるとアーリー・ジョージアン様式とミッド・ジョージアン様式の2つに分けられます。アーリー・ジョージアン様式はジョージ1世と2世が統治していた時代で、1720年から1760年ごろに該当します。イギリス人芸術家や建築家が活躍し始め、イギリスの芸術はイギリス人が担う機運が醸成される時代でした。
ミッド・ジョージアン様式はジョージ3世の時代に相当し、1760年から1800年頃を指します。産業革命による経済発展が後押しし、一般市民まで芸術に広く親しむようになった時期です。建築ではスコットランド出身のロバート・アダム達が生み出した「アダム様式」が流行し、陶磁器ではウェッジウッドのような老舗メーカーが誕生しました。