ジル・ゴリチとは、フランスの画家のことです。現代フランス画壇の巨匠であるポール・アイズピリの長男として、1939年にパリで生まれました。幼いころから芸術に囲まれながら生活し、17歳で個展を初めて開催します。1956年にアントラル賞展、1957年に青年絵画展に作品を出品し、若いころから精力的に活動していました。
1962年には青年絵画展に入選し、パリ市が受賞作品を購入。画家としての地位を確立しました。1965年からは、国際形象展やサロン・ドントーヌに何度も出品します。1982年以降は、パリだけでなく、モナコ、ニューヨーク、東京など世界中の都市で個展を開催し、日本にも度々来日しました。2019年に逝去した後も、作品はコレクターを中心に高く評価されています。
ジル・ゴリチの作品の特徴は、地中海の風景やパリの街並みなどを、鮮やかな彩色と軽快な筆致で描いているところです。父であるポール・アイズピリの作風を受け継ぎ、明るい雰囲気の作品がたくさんあります。フランス南西部からスペイン北東部にまたがる「バスク」という地域の文化や音楽も作品に反映し、オリジナリティのある作品を生み出しました。
ジル・ゴリチは、写実的な描写と抽象的な表現が混在する「半具象」という画風も特色のひとつで、現在も人気があります。ジル・ゴリチを代表する作品には、皿に盛りつけた果物を描いた『果物のある静物』、花瓶に生けてあるアジサイを描いた『二つのアジサイ』、ピアノの鍵盤と譜面台に載っている楽譜を描いた『ピアノ』などが挙げられます。