ジークレー

ジークレー(またはジクレ)とは、デジタルカメラとスキャナーの技術を用いて、インクジェットプリンターで印刷する版画技法と、版画作品のことです。家庭用のプリンターによる印刷との違いは、オリジナル作品の再現度の高さと、長期保存のしやすさが挙げられます。ジークレ―の版画作品を印刷するときは、専用のプリンターを使用するのが基本。版画紙やキャンバスに直接インクの粒子を吹き付け、色合い・濃度・質感を徹底的に再現できます。また、一度プリントアウトすると150~250年ほど保存することが可能と言われています。

制作の際は作家本人が直接関わるのが一般的で、プリント工房のオペレーターに対し、様々な指示を出しながら1つの作品を作り上げます。時には作家本人がプリントしたものに加筆したり、サインやエディション番号を書き加えたりすることも。刷り上がった作品の上に透明なニスをかけてシルクスクリーンのような仕上がりになるよう加工するケースもあり、オリジナリティあふれる作品が制作されています。

ジークレ―はフランスで開発され、現在はアート市場の拡大や貴重な文化財の保護への効果が期待されています。ジークレ―の作品は従来の版画作品と違い、版板を必要としないため、制作コストを抑えることが可能。加えて何度もプリントアウトできるため、有名作品を安価に美術ファンへ提供できるのです。また、耐久性に優れた特性を活かし、博物館や美術館では貴重な作品の複製やデジタルアーカイブ化への活用も進められています。