スカンブリングとは、不透明もしくは半透明の絵の具を使い、キャンバスや画用紙に薄く絵の具を擦りつける油絵の技法のことです。絵の具を薄く塗るため、下の色を透かすことができ、複雑な奥行きや柔らかいタッチを表現するときに用いられます。筆だけでなく、スポンジや布など、さまざまな画材で表現できるのが特徴です。
スカンブリングの歴史は長く、15~17世紀にかけてフランドル地方(現在のベルギーなど)で栄えた「フランドル派」の画家によって発展したと考えられています。ルネサンス期にはレオナルド・ダ・ヴィンチ、19世紀には印象派の画家もスカンブリングの技法を用い、風景画の光の変化や空気感を表現するときに活用しました。
スカンブリングは遠近感や陰影を表現するだけでなく、肌・布・金属の質感や、頭髪などを描くときにも用いられています。油絵に加え、アクリル画やテンペラ画、近年ではデジタルアートにも応用されています。筆のタッチや絵の具の濃度を調整することで、ぼかしたり立体感を演出したりと、さまざまな表現をすることが可能です。
スカンブリングとよく似た技法に「グレーズ」がありますが、下の絵を透かすとき、グレーズは透明な絵の具を、スカンブリングが不透明もしくは半透明の絵の具を使うのが主な違いです。スカンブリングを用いていると考えられる作品には、クロード・モネの『睡蓮』、ゴッホの『ひまわり』、ルノワールの『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』などが挙げられます。

