ソゲ

ソゲとは、陶磁器の口縁や高台にできた欠け傷のことです。ホツとの違いは、欠け落ちの形。ホツは表面から内面にかけて小さくえぐれているのに対し、ソゲは表面と内面のどちらか一方をそぎ落としたような形で欠け落ちています。陶磁器の釉薬の層がなくなり、ざらざらとした素地の層がむき出しになっているのが特徴です。高台にソゲが付いている場合は、置いたときの安定感を損なうことも。傷1つない作品と比べると見栄えが劣るため、鑑定の際はマイナスの影響を与えます。

ソゲが付いた陶磁器は、表面か内面のいずれかがそぎ落ちているものの、器そのものの原型はとどめているため、そのまま飾ったり日用品として使用したりする場合が多い傾向にあります。どうしても気になる時は、金継でソゲの部分を修復することも。金継とは、接着剤代わりの漆を陶磁器のソゲの部分に塗り、上から金粉を蒔いて装飾する日本ならではの修復技術です。陶磁器に金の華やかさが加わり、新しい趣を演出できる技法として人気があります。

ソゲと混同されやすいのが、「ふりもん(ふりもの)」と「くっつき(ひっつき)」です。いずれもソゲと同様に、ざらざらとした素地が見られます。ソゲとの違いは、陶磁器を制作する際に付いた傷なのかどうかです。ソゲは完成後使用しているうちに付いた傷なのに対し、ふりもんとくっつきは焼成の際に形成されます。いずれも「無傷」として扱われ、査定の際の評価にはほとんど影響を与えません。