ソンベ焼き

ソンベ焼きとは、ベトナム南部の「ライティエウ地区」を中心に生産されている伝統的な陶器のことです。もともとは家庭や屋台で使われる大衆向けの陶器でした。時代や歴史的な背景を反映しながらデザインが変化しており、世界中のコレクターや愛好家から注目を集めるほか、旅行のお土産としても人気があります。

ソンベ焼きの生産は、中国の福建省から陶器づくりの技術が伝来したのがきっかけで始まったと考えられています。初期のソンベ焼きは中国の影響を受け、中華風の絵柄がよく用いられていました。

19世紀後半にフランスによる統治を受けるようになると、ベトナムには西洋の文化が伝わり、ソンベ焼きでは花柄や幾何学模様が取り入れられるようになりました。ベトナム戦争終結後、ソンベ焼きは一時衰退しましたが、現在は昔ながらの技法の復興や、新しいデザインの制作などが精力的に取り組まれています。

ソンベ焼きの特徴は、職人による手作業で1つ1つ生産されているところです。手作りであるぶん生産量も限られており、希少性があるのも特色です。焼成するときは器を何枚も重ねて焼くため、新しいものでもポツポツとした跡や、ヒビ・歪みが見られる場合があります。

自然の土を原料としており、素地の色は淡い黄色や生成など、素材感のある風合いを楽しめます。経年変化による色の移り変わりも魅力で、生産から数十年以上経過したソンベ焼きは、ヴィンテージものとして人気があります。