ダドソンとは、イギリスの陶磁器メーカーのことです。1800年に、リチャード・ダドソンによって設立されました。1880年代になると、鉄道が開通して旅行客が増えたことを受け、創業者のひ孫であるジェームス・トーマス・ダドソンが、生産体制を見直して、ホスピタリティ市場にも対応するようになりました。
創業当初のダドソンは、家庭用品の製造を中心に行っていたようです。1890年代初頭までは、強度に優れているガラス化磁器を生産していました。しかし2019年になると、売り上げの悪化や生産コストの増加の影響を受け、ダドソンは経営破綻します。その後は地元の陶磁器メーカーの「チャーチル・チャイナ」がダドソンの人気シリーズ「ハーベスト」と「エボ」の権利を取得し、現在もダドソンのブランドの製品が造られています。
ダドソンの陶磁器の特徴は、時代に合わせてデザインが変化しているところです。アンティークの製品は、マットな質感を持つ「ジャスパーウェア」や、華やかな装飾を施したものが生産されていました。新しい時代の製品だと、無地のテーブルウェアをはじめ、シンプルで洗練されたものが多くなっています。
ダドソンの陶磁器生産の様子は現在も伺うことができ、かつての工場跡地は「ダドソンセンター」として再活用されています。ダドソンセンターはダドソンで使われていた窯を利用しており、実際に生産されていた陶磁器が展示されています。イギリスの陶磁器産業の歴史や、19世紀以降の嗜好の変化などが伺える、貴重な資料になっています。

