ティルトトップ式テーブル

ティルトトップ式テーブルとは、18世紀初頭のイングランドで考案された甲板を折りたためるテーブルです。大きく分けると甲板、支柱、甲板と支柱を固定する「バードゲージ」の3つの部品でできており、シンプルな造りなのが特徴。バードゲージは2枚の板の中央に支柱の上部の先端が通っており、板の四隅を支柱で支えている様子が鳥籠に似ていることからその名称が付けられました。

ティルトトップ式テーブルが考案された背景には、イングランドでの喫茶文化の流行があります。17世紀に極東地域との貿易が成立して以降、イングランドには大量の茶葉がもたらされ、次第に労働者階級にまで普及しました。ティルトトップ式テーブルは甲板を折りたたむことができ、使わないときは部屋の隅などに収納しやすい造りなのが特色です。なかには甲板の縁は少し高くデザインし、大切なカップやソーサーが落ちないよう工夫を施したものもあります。

ティルトトップ式テーブルは発祥の地であるイングランドをはじめ、当時イギリスの植民地であったアメリカの東部13州でも流行しました。実用性に優れていたこともあり、19世紀に入っても製造が続いたほどです。最上級品にもなると、少し見ただけではイングランド製とアメリカ製の区別がつかないこともあります。

生産地によっては三脚台のデザインを特徴的なものにしている所もあり(例:イングランド北西部ランカシャーの靴形の三脚)、目を凝らすと見どころがたくさんあるアンティーク家具です。