ドレスデン

ドレスデンとは、ドイツの東部にある街のことです。チェコの国境と近い場所にあり、古くから高級磁器を生産する場所として知られています。当時ドレスデンを含む広い範囲を統治していたアウグスト2世によって芸術都市へと発展し、ザクセン州立歌劇場やツヴィンガー宮殿など、バロック様式の建築物が多く建設されました。

アウグスト2世は熱心な東洋の陶磁器の収集家で、中国や日本などから輸入した作品を多く所有していました。アウグスト2世は東洋の陶磁器を再現する方法の研究にも力を入れ、ヨーロッパを代表する陶磁器ブランド「マイセン」の創業にも影響を与えました。ドレスデンはマイセンの製品に絵付けを施す中心地として発展し、陶磁器の生産にも深い関わりがあります。

ドレスデンには絵付け工房を中心に、陶磁器に関わる工房が多数設立されました。代表的なのは1872年創業のカール・ティーメ工房で、ドレスデンのなかでは珍しく素地の生産から手掛けています。ほかにも絵付けを手掛けたアンブロジウス・ラム工房や、1869年~1949年に活動したリヒャルト・クレム工房など、さまざま工房があります。

また、19世紀にはマイセンの製品の影響を受けた他工房製の製品を「ドレスデン磁器」と呼ぶようになりました。各工房には独自の技術やデザインがあり、マイセンの影響を受けつつもオリジナリティを感じられる作品がたくさん登場しています。伝統的な技術と現在の流行を組み合わせた作品も登場しており、ドレスデンは今も陶磁器の名産地として愛され続けています。