ドレスデン・フラワー

ドレスデン・フラワーとは、ドイツの古都ドレスデンを中心に発展した磁器装飾の様式のことです。ドレスデンは、18世紀頃から磁器の装飾や販売が盛んに行われている地域でした。19世紀になると市内に多くの絵付け工房が設立され、マイセンなどから素焼きの磁器を仕入れ、独自の豪華な絵付けを施して出荷していました。

このような流れのなかで生まれたのが、ドレスデン・フラワーです。華麗で写実的な花を、生命力のある色彩で描きました。花束のように花をまとめたモチーフと、一輪一輪を丁寧に描いた「散らし花」を組み合わせたデザインが特徴で、職人によって筆跡が異なります。バラやチューリップ、ワスレナグサなど、さまざまな花が描かれました。

ドレスデン・フラワーは、絵画のように平面的に描かれるだけでなく、立体的な装飾を用いることもありました。粘土で小さな花を1つずつ作り、器の表面に貼り付ける方法も、ドレスデン・フラワーが得意とする技術のひとつです。なかには器の縁を網目状にくり抜いた透かし彫りを取り入れた製品もあり、花とレースを組み合わせたような華やかなものも登場しました。

ドレスデン・フラワーを用いた磁器メーカーとして有名なのは、シューマン・ババリアです。格子状の透かし彫りに花を描いたものが多く、日本でもアンティーク製品として高い人気があります。繊細な職人の手仕事と、華やかな宮廷文化が融合し、高い芸術性を実現しているのが、ドレスデン・フラワーの魅力です。