ドレスデン・ポルツェラン

ドレスデン・ポルツェランとは、ドイツ東部に位置するザクセン州のドレスデン地区という場所で生産されている磁器と生産している会社のことです。磁器の産地としては100年以上の歴史があり、粘土づくりから絵付け・焼成までのすべての工程を完全手仕事で行うマニュファクチュールでもあります。

創始者はヨハン・カール・ゴットリープ・ティーメという人物で、1872年にポットシャペル(現フライタール)で営業を開始しました。1874年、既にデザイナーとしての知名度を有していたカール・アウグスト・クンチュを後継者とし、さらなる製品の充実化を図ります。この時期からドレスデン・ポルツェランは、国内外の王侯貴族からの依頼をたくさん受注するようになりました。

1910年代にはスタッフの数が300人を超えるほど成長しましたが、第一次世界大戦と世界恐慌の影響で、売上が減少傾向に転じます。恐慌が落ち着き始めるとイギリス王室からの注文を受け、経営状況が回復するだけでなく窯の知名度も上昇しました。しかしながら第二次世界大戦後ドイツは東西に分断され、東ドイツに属していたドレスデン・ポルツェランは国策により、1950年から40年間ほどは国営化されました。

1991年の東西ドイツ統合に伴い個人の企業として独立し、現在は社員が一丸となり、ドレスデン・ポルツェランの技術や事業の継承に力を入れています。磁器のマニュファクチュールはドレスデン・ポルツェランを含め数社にまで減少しており、伝統を受け継ぐ貴重な存在にもなっています。