ドローイング

ドローイングとは、ペン・鉛筆・木炭などを使用した線画のことです。単色の画材で線を引き、絵を描いた作品を指します。線の濃淡や太さを調節しながら、作品を制作するのが特徴です。細かい陰影や対象物の質感などは、平行線で画面を埋める「ハッチング」という技法を使って表現するケースがよくあります。ドローイングの対照的な存在として挙げられるペインティングは、絵の具を使って作品を制作することに重点を置いているのが特色。油彩画や水彩画などは、ペインティングに分類できます。

ドローイングでは、紙だけでなくキャンバスや板など様々な画材を使用します。黒鉛筆や木炭以外の筆記具を用いた作品もあり、バリエーションはとても豊富です。ドローイングの作品として挙げられるのは、石川九楊の『9.11事件以後Ⅰ』や草間彌生の『Go & Stop』、キース・へリングの『サブウェイ・ドローイング』など。キース・へリングはアメリカ出身の画家で、シンプルな線と色を用いた作品を多く生み出しました。

ドローイングは、「素描」や「デッサン」と同じ意味で使われることもあります。素描やデッサンはドローイングと同様、単色の線で絵を描くため、区別をするのが難しいというのが理由の1つとして考えられます。逆に「ドローイングとデッサンは別物である」と考える人も一定数おり、ドローイングの定義は少々曖昧です。建築業界だと、ドローイングは「製図」「図面」という意味で用いられています。