ヌーヴォーレアリスム

ヌーヴォーレアリスムとは、1960年にフランスで結成した芸術グループと、芸術運動のことです。1960年10月27日に美術評論家のピエール・レスタニやフランスの画家であるイヴ・クラインをはじめとした9人の芸術関係者がグループの結成を宣言。1960年代初期にはパリやニューヨークなど世界各地で展覧会を開催します。1962年6月6日にイヴ・クラインが急死して以降グループとして結束しながら活動することが難しくなり、各作家は個別の芸術活動へと移行していきました。

ヌーヴォーレアリスムが誕生した背景には、工業化によって大量の製品と廃棄物が発生した社会的な潮流があります。「大量の既製品に囲まれながら生活することは現代人にとって自然なことであり、そのような環境に現実性を見出す」を理念として活動していました。伝統的な技法を捨てて既製品等を使用し、非伝統的な作品を制作しているのがヌーヴォーレアリスムの特徴です。使用する材料や手法は作家ごとに異なります。

アルマンは収集した廃棄物を使用した彫刻作品を多く制作しました。代表作は破壊したピアノやチェロなどの楽器の破片を使用した『怒り』や、83台の軍用車両を積み上げた高さ32mの『平和への希望』などが挙げられます。フランスの彫刻家であるセザール・バルダッチーニは、自動車を大型プレス機で圧縮した作品を発表します。ほぼ真四角の形に圧縮するのがセザールの作風の特徴。圧縮後表面にイメージ通りの形や色彩が表れるよう、別の金属片を圧縮前に加えることもありました。