ビスクドール

ビスクドールとは、19世紀のヨーロッパで流行した人形のことです。磁器でできているのが特徴で、主にブルジョア階級の貴婦人や令嬢の間で人気を博しました。磁器製であることから、別名チャイナドールとも言います。製造から100年以上経過したものはアンティーク・ドールとも呼ばれ、コレクターからも注目を集めています。

ビスクドールの「ビスク」は、フランス語で「二度焼き」を意味する「biscuit(ビスキュイ)」が由来になっています。人形の頭部をはじめ、手足や全身が二度焼きされた磁器製であるのが理由とされています。多くの種類の製法がありますが、主なものは型に陶土を詰め込んで作った「プレスドビスク」と、液状ポーセリンを流し入れて作る「ポアードビスク」の2種類です。

ビスクドールが登場した初期は大人の女性のようなプロポーションで、流行している衣服を伝える宣伝用かつ鑑賞用の人形として使われていました。そして次第に、子どもの体型をしたベベドールがビスク・ドールの主流になります。ベベドールがビスク・ドールの主流になった理由は諸説ありますが、パリ万博に出展された日本の市松人形が影響しているとも考えられています。

ビスクドールの代表的な製造会社としては、フランスのジュモーやブリュ、ドイツのケストナーやシモン&ハルビッヒなどが挙げられます。現在のビスク・ドールはインテリアとして飾られることも多く、役目を変えながら今もなお人々に親しまれています。