フュルステンベルクとは、ドイツにある磁器ブランドのことです。1747年に、カール1世によって設立されました。18世紀はドイツでマイセンやヘキストといった有名ブランドが次々と設立されていた時期で、フュルステンベルクは同時期に生まれたブランドと共に「ドイツ7大名窯」のひとつに数えられています。
フュルステンベルクは設立当初から1972年まで、フュルステンベルク城内で磁器を生産していました。現在は城に隣接する工場で生産を続けており、設立当初から270年以上拠点を移すことなく活動しているブランドです。かつて工場として使われていたフュルステンベルクの一角は、現在は博物館として活用されています。
フュルステンベルクの特徴は、ほとんどの工程を現在も手作業で行っていることです。ティーポットは10個前後のパーツを組み合わせて形を作り、彫や刻みは専用の道具を用いて丁寧に仕上げます。人件費を考慮して海外生産に切り替えるブランドもあるなか、フュルステンベルク産にこだわっているのも特色です。
また、形のバリエーションの豊富さもフュルステンベルクの魅力のひとつ。18世紀ごろから続く伝統的なものから、現代の食卓でも使いやすいものまで10種類以上あります。「アルト・フュルステンベルク」と「フェルディナント公爵」は、18世紀に登場した歴史あるシリーズ。1937年開催のパリ万博で金賞を受賞した「ヴァーゲンフェルト」や2023年にレッドドット賞を受賞した「データム」など、さまざまなシリーズが登場しています。