ブロンズ

ブロンズとは、銅像を作るために使用する金属の素材のことです。銅を主体に、錫や亜鉛などを混ぜて作ります。劣化しにくく加工しやすい質感のため、芸術作品の制作だけでなく屋外用のモニュメントを作るときにも重宝されています。独特の光沢があり、経年により徐々に変色するのがブロンズの特徴。完成当初は赤褐色や褐色で、時間が経つにつれ暗褐色や緑青へと変わっていきます。周辺の環境により経年変化の具合が異なり、長く所有すればするほど味のある作品になっていくのが魅力です。

ブロンズの歴史は古く、紀元前3000年ごろには現在のイラク周辺でブロンズ像が作られていました。日本にブロンズが伝来したのは、紀元前3世紀ごろ。朝鮮半島から九州に伝わり、そこから日本全国へと波及していったと考えられています。奈良時代なると、東大寺の大仏にもブロンズが使われました。

ブロンズ像を鋳造する際は、はじめに彫刻用の粘土で完成品の原型を作ります。次に原型に沿って粘土を重ねて乾燥させた後、乾いた粘土を切り分けて原型を取り出します。原型を5~6cm削って先ほど切り分けた粘土をもとに戻し、すき間にドロドロのブロンズを流し込みます。最後に表面を磨いて形を整えたら完成です。

ブロンズ像の代表的な芸術作品は、オーギュスト・ロダンの『考える人』。オリジナルのものは世界に20体以上あり、それぞれ大きさや色が異なります。日本では、東京都・京都府・静岡県などで鑑賞することが可能です。