ペクソンヌ窯

ペクソンヌ窯とは、フランスの陶器窯のことです。1720年頃にフランスのロレーヌ地方で、修道院の跡地を活用して創業したとされています。当時フランスはヨーロッパの近隣諸国との戦争が続き、武器に使う金属が不足していました。貴族が使う銀食器の使用も禁じられ、代わりになるものを作るために創業したと考えられています。

1836年に二コラ・フェナルという人物がオーナーになり、1857年に亡くなった後は、彼の息子や甥が跡を継いで「Fenal Frères(フェナル・フレールス)」というブランドを作りました。1870年以降は普仏戦争の影響で、フランスとドイツの国境に位置する陶磁器の名産地サルグミンヌから多くの人が、ペクソンヌ窯がある地域に移住します。従業員の数も19世紀末には約300人にまで増え、最盛期を迎えました。

陶磁器の名産地からの移民が増えたことでペクソンヌ窯では近代的な窯が作られ、品質が大幅に改善され、透明感がある白い陶器が作れるようになりました。しかし20世紀になると第一次・第二次世界大戦の影響を受け、深刻な被害を受けます。1945年10月に生産を再開したものの、生産量は回復せず、1953年に閉窯することになりました。

ペクソンヌ窯では、淡い色合いで風景や植物を描いた製品が多く生産されていました。写実的な描写で描かれたものが多く、食器として使うだけでなく、部屋に飾って作品として鑑賞できる美しさなのも、魅力のひとつです。近年はアンティーク物、ヴィンテージ物として、コレクターからの人気を集めています。