ペトルス・レグーとは、かつてオランダに存在した陶器ブランドのことです。ツヤのある白い陶器と、東西の文化が融合した独自のデザインが特徴。東洋の草花や風景、オランダの宮殿や風車の景色など、陶器にはさまざまなものが描かれました。彩色は青や黒を用いているものが多いのも、特徴として挙げられます。
ペトルス・レグーの前身は、ガラス工房として1834年に設立されたロイヤルスフィンクス社です。1836年から製陶を開始し、当初は地元民に向けた白い器の生産が中心でした。しかしイギリスで作られるクリーム色の陶器が人気を集めるようになったことを受け、ロイヤルスフィンクス社はイギリスの職人を雇ったり、機械を導入したりするようになりました。
経営規模は国際市場で製品を販売できるまでに成長し、19世紀後半には開国した日本にも船を送って陶器を輸出しました。社名も「ペトルス・レグー・アンド・カンパニー」に変更し、ブランドロゴも前の社名をイメージしたスフィンクスのデザインに刷新します。1958年にオランダのソシエテ・セラミックという会社と合併し、ペトルス・レグーの名前は使われなくなりました。
ペトルス・レグーの製品のなかには青い絵付けの色がにじんで独特の風合いを持つものがあり、「ブルーフロー」と呼ばれています。ほかにも「NANKIN」「FLORA」「INDIAN TRAFIC」など、さまざまなシリーズを生み出しました。生活の一場面を切り取ったような繊細な風景を描いているものもあり、見るだけでも楽しめる陶器がたくさんあるブランドです。