ミックスドメディア

ミックスドメディアとは、2種類以上の素材や技法を組み合わせて制作したアート作品のことです。組み合わせ方はアーティストによって異なり、シルクスクリーン×ハンドペインティングや、アクリル絵の具×鉛筆×クレヨン×ポスカなど、様々な作品が生み出されています。特徴は、従来の描き方では表現できなかった繊細なグラデーション・奥行・立体感などを表現できるようになったところです。

ミックスドメディアの作品は20世紀以降制作されるようになったとされ、最初期の例としては1912年ごろのピカソやブラックのコラージュを用いたキュビズム絵画が挙げられます。第二次世界大戦後は、アメリカのネオ・ダダやイタリアのアルテ・ポーヴェラ、日本の具体美術協会などへ継承されました。

代表的な作例は、J・クネリスの立体作品『無題』(1978)です。J・クネリスはアルテ・ポーヴェラに属する作家の一人で、『無題』の制作においては、油彩を施したキャンバス、石灰袋、船の模型を用いています。伝統的な素材に、現代的な要素や既製品である模型を組み合わせているのが面白いポイントです。ミックスドメディアは作品の制作に用いる素材や技法に制限がなく、作家一人ひとりが自由に表現できる芸術と言えるでしょう。

現在は絵画や版画、彫刻作品にとどまらず、音響・照明・映像を組み合わせた作品もミックスドメディアと呼ばれることがあります。ジャンルを横断した作品は「インターメディア・アート」と称される場合もあり、今後も目が離せない芸術分野です。