リッジウェイ

リッジウェイとは、イギリスの陶磁器メーカーのことです。金彩を施した華やかなものや日本の伊万里焼を思わせる東洋風のものなど、さまざまなデザインの陶磁器を生産しました。筆のタッチは細いレースのように繊細で、当時の職人の技術力が伺えます。王室御用達の称号も授かり、品質・知名度ともに高い評価を得ていました。

リッジウェイが創業したのは、1700年代中頃とされています。ジョージ・リッジウェイとジョブ・リッジウェイという兄弟が、イングランド西部のスタッフォードシャーで窯を立ち上げました。その後、それぞれの息子たちへの事業の引継ぎを考慮して、兄弟は一度別の道を進みます。しかし兄のジョージには後継者いなかったため、弟のジョブの息子がジョージの会社を引き継ぎました。

1830年には会社の事業を陶器と磁器に分け、磁器事業では上流階級向けの高品質なものを、陶器事業ではアメリカ向けの製品の大量生産を行うようになります。1851年に開催されたロンドン万国博覧会では磁器事業で生産していた製品がヴィクトリア女王の目に留まり、王室御用達の称号を授かりました。

当時は「最も大きく優れた工房のひとつ」と評価され、他の陶磁器メーカーとの合併を経て、リッジウェイは陶磁器の一大ブランドにまで成長しました。しかしながら1930年代以降は買収・吸収が繰り返され、リッジウェイの規模はどんどん縮小していきます。1960年のロイヤル・ドルトンによる吸収合併を機に自社生産が終了し、1996年に完全閉鎖されました。リッジウェイの新作が発表されることはなくなり、現存する製品は希少価値が高まりつつあります。