リモージュ磁器

リモージュ磁器とは、かつてフランス中南部に存在したリムーザンという地域圏の、リモージュというエリアで作られている磁器の総称のことです。絵付けを施してから白い生地を焼き上げる独特の手法で生産しており、透明感が高く美しい白は世界中の一流レストランやセレブから評価されています。

リモージュ磁器の生産が始まった背景には、16世紀ごろから中国の磁器がヨーロッパで流行したことが挙げられます。ヨーロッパ諸国は自国でも磁器を生産できるようそれぞれ研究開発を進め、フランスでは1768年のカリオンの発見を機に「アルトワ伯爵製陶所」が創設され、磁器生産に力を入れるようになりました。

リモージュ磁器が高く評価されるようになったのは、19世紀前半ごろからと考えられています。リモージュ磁器は当初黄色が少し混じったような色味をしていましたが、鉱物学者のフランソワ・アリュオーが金属酸化物を取り入れた絵付け技法を用い、現在のような白さを作る礎を築きました。1842年から数年間リモージュに滞在したニューヨークの貿易商ダビッド・アビランドによってアメリカに紹介され、販路が拡大したことでリモージュ磁器の存在が世界中に知られるようなりました。

現在もリモージュ磁器の生産は続いており、代表的なブランドとして「アビランド」や「レイノー」が挙げられます。アビランドはリモージュ磁器の知名度向上の立役者ダビッド・アビランドにちなんでおり、レイノーはリモージュ磁器の伝統を受け継ぎハンドメイドによる絵付けにこだわっているブランドです。