ロココ

ロココとは、1710年代~60年頃にフランスを中心に現れた美術です。1715年、ルイ14世が亡くなってから、甘く優美な雰囲気のある美術が流行します。このロココの美術は、ルイ14世時代の荘重な芸術文化への反動として生まれました。

前時代のいかめしい壮大さや儀式性、観念性から軽妙さや自由奔放さ、日常性や感覚性を重んじる風潮に変わってきたのです。

これには、それまでの窮屈な状況から解放されたというきっかけがありました。貴族たちは、より軽くて楽しく、華やかで美しいものを求めるようになったのです。芸術の舞台も、宮殿から貴族や裕福な市民の館へと変わります。影響を与える人物も国王から、その寵愛を受けた女性たちへと変わっていくのです。

この時代は、貴族が快楽にふけり、一般市民の力が強まっていった時代でした。そのため、ロココには、相反する性質の美術や文化が含まれてしまっており、新たな美術史上の問題となっています。

ロココは、「ロカイユ」というバロック庭園の人工洞窟に付けられていた貝殻などをはめて並べた装飾の名称からきています。そして、1730年代に複雑で精妙な曲線でできた装飾のデザインが「ロカイユ」と呼ばれるようになるのです。

フランス以外の国では、イギリスで1768年に王立美術アカデミーが設立されます。ここからイギリス絵画の地位が確立されていくのです。

また、イタリアのこの時代の絵画の中心地はヴェネツィアでした。そこでティエーポロによって歴史にとらわれない自由な絵画が生み出されていくのです。

主要人物・作家

カナレット、ヴァトー、シャルダン、ボフラン、ブーシェ、ノイマン、ホガース、ラ・トゥール、ピラネージ、スフロ、ティエーポロ、フラゴナール、グルーズ、レノルズ、ゴヤ(初期)