ロマン主義

ロマン主義とは、19世紀に起こった自由な感情表現が重視された美術です。

ナポレオンの敗北とともに衰退への道をたどった新古典主義。当時ナポレオンは、絵画を重要なプロパガンダと捉えていました。新古典主義の理想化が絵画の主な傾向だった王政復古期。そこで支配層によって保たれている欺瞞的な平和に若い芸術家たちは焦りやもどかしさを感じます。この若い芸術家たちこそがロマン主義の芸術家たちなのです。

彼らは、次第に確立されていくブルジョワ体制に反感を抱きました。そのため主観的な激情にあふれた作品や時事的題材を扱った作品を描いていきます。

また彼らは、新古典主義の厳格で、規則に縛られた方法にも反発心を覚えます。合理的な理論より、自由な空想を好んだのです。

ロマン主義の芸術家たちは、異国への憧れや、中世の空想的物語、自然の神秘的な光景に興味を持ちました。そこで、より自由な表現の美術を目指したのです。

自然への畏敬を持ち、情熱的な恋愛や破滅的な自殺、犠牲的な死へ憧れを抱いたロマン主義の芸術家たちは、神秘的なものや不合理的なものに興味を抱きます。そこで、道徳よりも感情表現を重視した想像力豊かな作品が生まれたのです。そして激しい筆致とドラマティックな表現が重視されて描かれます。

一方でフランス革命とナポレオンの侵略が目覚めさせたもののひとつに、各国の自我がありました。そのため、国ごとの特殊性への関心がロマン主義の特徴でもあるのです。

主要人物・作家

ジェリコー、ドラクロワ、フュースリ、ウィリアム・ブレイク、コンスタブル、ターナー、フリードリヒ、ゴヤ