共板

共板(ともいた)とは、作者本人が作品名や制作者名を記した、証明書のような役割を担う板です。特に日本画の作品に付属していることが多い傾向にあります。作品の真贋や、制作年代を推定する際にも重宝します。共板が付いていない作品でも、制作者が生存していれば後から共板を書いてもらうことが可能です。後から共板を書いてもらう際は、制作者を見つけ出すための時間や費用が必要であることを留意しておきましょう。

共板を作品に付属させるようになった背景の1つに、日本画の鑑賞方法の変化が挙げられます。もともと日本画は、掛軸に仕立てて床の間に飾って鑑賞するのが一般的でした。時代が進むにつれて建築様式が変化し、床の間がある住宅の数は大きく減少します。床の間がない家が増えた結果、掛け軸に仕立てた日本画を額縁に入れなおし、額装で鑑賞する機会が増加しました。

現代の額装では、木や金属でできたフレームにアクリル板とマットを組み合わせ、間に絵を挟むようにして作品を保存できます。飾らないときは壁から外し、額縁ごと保管できるため、掛け軸を巻いて保管する従来の木箱は要らなくなってしまいました。しかし、木箱のなかには共箱や識箱のように、作品が本物・優品であることを証明する重要な役割を果たすものもあります。

木箱ほど保管に手間を要さず、作品が本物・優品であることを証明するものが求められる状況になったときに登場したのが共板です。現在は、作品に共板のみが付属しているものも流通しています。