奥会津昭和からむし織

奥会津昭和からむし織とは、福島県大沼郡昭和村で生産されている織物のことです。「からむし」という植物の茎の繊維を素材にしており、吸湿性・速乾性・耐久性に優れているのが特徴。手触りはさらりとしており、浴衣をはじめとした夏向けの衣類を仕立てるのに向いています。奥会津昭和からむし織で仕立てた夏衣を着た人からは、「他の織物の着物が着られなくなる」との声が上がるほどの上質さが魅力。現在は夏衣だけでなく、小物や装飾品づくりにも用いられています。

昭和村では江戸時代よりからむしの栽培が行われており、寒冷な気候の地域を支える産業として発展していきました。明治時代中期に最盛期を迎え、生産量は6トンにも上りましたが、生活スタイルの変化と化学繊維の普及によりからむしの需要は激減。存続の危機に瀕し、平成6年(1994)より「からむし織体験生(織姫・彦星)」の募集を開始し、1年をかけてからむし織の生産法を伝授しています。

からむし織づくりは、年間を通して行われます。原材料となるからむしの栽培は、主に5~7月にかけて。雑草取り・施肥・刈り取り・植え替えなどをします。刈り取ったからむしから繊維を取り出す「苧引き(からむしひき)」は7~8月に。繊維を繋ぎ合わせて糸にする「糸づくり」は年間を通して行われ、織りの工程は雪で外での作業が難しい12~3月に実施します。大量生産できる機械は使わずすべて手作業で作っており、手作りならではの温かみを感じられるところも人気の理由です。