常滑焼

常滑焼(とこなめやき)とは、愛知県常滑市で生産している焼き物のことです。日本六古窯の1つに数えられており、平安時代後期に該当する12世紀末には茶碗や皿、壺などを作っていたと考えられています。中世の常滑焼の生産量は日本六古窯のなかでも最大規模で、生産していた焼き物は大型のものが中心でした。明治時代になると西洋の技術を導入し、機械化を進めて近代産業の仲間入りを果たします。

常滑焼の特徴は、焼き上がった後の色が鮮やかな赤茶色であるところ。常滑焼で使用する、愛知県の知多半島で採れる陶土が鉄分を多く含んでいるのが赤く発色する理由です。通常鉄分を多く含んでいる陶土を焼成すると黒くなったり、膨れ上がって形が歪んだりしてしまうのですが、常滑焼はこの弱点を克服して均一な色合いの焼き物の生産に成功したのです。

常滑焼の生産で使用する技法のなかでも代表的なのが、「ヨリコ造り」。太さ7~10cmもの太い粘土紐を渦を巻くように積み重ねる技法で、平安時代から続く伝統ある技術です。大型の甕や壺を作るときによく用います。

現在特に人気を集めている常滑焼の製品は、急須です。陶土に含まれる鉄分がお茶の渋みや苦みを和らげるのが魅力で、普段使い用の台所用品として食卓に並べる家庭もあります。2007年から2010年にかけて行われた東京駅舎の修理の際に使用した赤レンガも、常滑市にあるタイルメーカーが生産しました。2017年には日本六古窯の1つとして日本遺産にも登録され、注目が集まっている伝統的な工芸品です。