日本画

日本画とは、日本の伝統的な作風を受け継いでいる絵画作品の総称です。明治時代に、ヨーロッパから入ってきた洋画(油彩画)に対して用いられるようになりました。狭義では明治~第二次世界大戦終結まで、広義では明治以前と第二次世界大戦後も含めた、日本の伝統的な画技を用いた作品を指します。

また、時代ではなく流派や作風で区別する場合もあります。狭い意味では狩野派・円山派・明治以降に流行した平面的かつ装飾的な大和絵風の絵画、広い意味では流派を問わず日本風の作品を一括して呼ぶこともあり、定義があいまいになっているのが現状です。

日本画の特徴は、使用している材料が天然素材であること。絵の具は主に、天然の岩を砕いた岩絵の具、金属粉・水・貝殻の粉末を混ぜて使う泥絵の具、鉄鋼や植物の粉末を水に溶かした水絵の具の3種類が挙げられます。絵は紙もしくは絹に描かれるのが一般的で、絵の具の滲みを防止するため、あらかじめ「礬水」というミョウバンを溶かした水に膠を混ぜた液体を垂らしておかなければなりません。

技法は、線の引き方や色のぼかし方など日本独自のものが多くあり、油絵と比べるとすぐに習得するのが難しい傾向にあります。以前は屏風や掛け軸に仕立てたり、巻物にしたりしていましたが、現在は洋画と同様に、額縁に入れて発表される作品も少なくありません。これは一般家屋の洋風化や、鑑賞の場が私的な空間から美術館へと移っているためだと考えられます。