書画

書画とは、書と絵画が融合した美術作品のことです。主に中国や日本などの東洋美術で見られます。描いている風景や物と関連付けた漢詩を書き込んでいるものが中心です。絵を描いた本人が詩も書いたもの、絵画作品の鑑賞者が作品に対する感想や「賛」と呼ばれる賛辞を詩に表したものがあります。もともとは絵画のみだった作品でも、後世の人が賛を書き入れたものは少なくありません。多くは掛け軸に仕立てられ、「詩軸」や「詩画軸」などと呼ばれています。

中国書画の特徴は、漢字の表現が豊かなところ。字体や墨の濃淡などを使い分けることで漢字に表情を与えており、絵画の部分と合わさって作品全体が見ごたえのあるものになっています。有名な作例は、徐渭の「墨花九段図巻」や呉昌碩の「牡丹水仙図」など。特に呉昌碩は、これまで墨のみで制作するのが主流だった中国書画にはじめて西洋紅を取り入れています。複雑な黒の濃淡に鮮やかな紅色を加え、華やかさを持つ作品を生み出しました。

日本だと、伝明兆の「渓陰小築図」や雪舟の「破墨山水図」などが書画の作例として挙げられます。どちらも上部に書、下部に絵画を書き入れています。みっちりと書を書き込んだ上部と墨の濃淡や余白を活かした下部の対比が美しい作品です。近代前後には、文人画家で儒学者の富岡鉄斎も登場します。爽やかな水色の彩色を施した「楽此幽居図」が有名。書画は中国でも日本でも時代が下るにつれ墨以外の色も盛んに取り入れるようになり、いつの時代も見る人を楽しませる美術ジャンルです。